起業する上で、まず選択肢に挙がるのが”有限会社”。
取締役の任期はなく、決済の報告義務もなしと。
株式会社に比べて縛りが緩いことで人気の選択肢でした。
その為、今でも起業するときに有限会社を意識する方は多いもの。
しかし、いざ有限会社で設立しようとしても方法はありません。
今回は有限会社の設立方法がない理由、他の選択肢についてご説明します。
有限会社より魅力的な選択肢を紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
冒頭で紹介した通り、2018年現在、有限会社の設立方法はありません。
では、なぜ有限会社の設立方法がないのか、現存しているものはないのかご紹介しましょう。
有限会社とはその名の通り、”有限責任”を負うことになる会社形態のこと。
有限会社において代表取締役(社長)も、社員も有限責任を負うことに。
有限責任とは負債などに対して、一定の返済義務があるということです。
「返済義務があるの…」と思われますが、あくまで”有限”なのですべてではありません。
仮に、個人事業主であれば”無限責任”なので負債に対して全額返済の義務が。
万が一に倒産したとして、持ち家など資産を売却してでも返済する必要があります。
有限会社では一部のみなので、倒産したからと個人的な資産にはあまり関係ないのです。
取締役の任期がなく、決済の報告義務もないなどのメリットのある有限会社。
株式会社によくある制度が簡略化された、実に都合の良い会社制度でした。
しかし、2018年現在、残念ながら有限会社は会社制度として廃止されています。
つまり、新しく有限会社として設立する方法がない、設立できないということです。
というのも、有限会社として設立する事業者の数が減り、必要性が薄くなったため。
有限会社というのは最近では珍しい、同族経営(家族)向きの制度だったためです。
有限会社の制度がなくなったとのことですが、すでに設立されたものはどうでしょうか?
実は、すでに設立された有限会社については、そのまま存続して問題ありません。
有限会社としての制度のまま、”有限会社”としての名称もそのまま残っています。
先述した通り、有限会社では取締役の任期も、決済の報告義務もなく魅力的です。
また、有限会社が年々減少している中で、有限会社を名乗れるのは希少性があります。
政府の方針が変わらない限りは、今後もすでにある有限会社は残り続けることでしょう。
新たに有限会社を設立する方法はないとのことでした。
そこで、有限会社以外の会社設立の方法についてご説明しましょう。
会社設立と聞いて、まず思い浮かべるのが”株式会社”。
”株式”と名前にある通り、株式を発行することで株主から資金を集められる会社のこと。
銀行や社員などからだけでなく、不特定多数から資金を集められるのはメリットです。
また、50年ぶりに法改正(商法)され、資本金1円から設立できるようになりました。
これまでのように資本金1,000万円以上必要という制約がなくなった訳です。
株式会社を設立するハードルとしては、大きく下がっていると言えるでしょう。
ただし、設立の方法は複雑で、個人で手続きするのはちょっと難しいかもしれません。
多少費用をかけてでも、司法書士や代行業者などに依頼するのが一般的です。
ここ数年、有限会社が廃止されてから注目されているのが”合同会社”。
社員(出資者)が”有限責任社員”となり運営していく会社形態のこと。
社員全員が経営に携われるので、意識を統一した上で業務を進められます。
また、外部(株主など)の意見に左右されず、スムーズに意志決定することも。
しかし、全員が経営に関われるだけに、意志の統一が難しいという問題点も。
万が一にも仲違いすれば、重要な案件が進まない危険性もあるのです。
まずは1人から、複数で設立するにも協調性のあるパートナーが条件でしょう。
個人事業主に似た形態としていまでも残っているのが”合名・合資会社”。
合名・合資会社の設立方法は比較的簡単で、資本金制度もありません。
会社の判断のみで利益配分もできるなど、同族経営に向いている制度です。
個人事業主と有限会社の中間にあるようなイメージを持つと分かりやすいです。
ただし、合名・合資会社では社員全員、または一部に”無限責任”があります。
つまり万が一に、倒産でもすれば個人の資産からの返済義務があるということ。
設立のしやすさは魅力ですが、合同会社ができてからはあまり人気はないです。
今回は、有限会社の設立方法がない理由と他の選択肢についてまとめてみました。
有限会社の設立方法がないというのは、すでに会社制度として廃止されているため。
株式会社が増え、合同会社という選択肢も登場してあまり選ばれなくなったためです。
もし会社を設立するのなら”株式会社”か”合同会社”、”合名・合資会社”のどれかに。
ぜひ紹介した選択肢を参考にし、ベストな会社制度の設立方法を検討してみてください。